これまでの研究概要

 

<微生物によるニトリル化合物の代謝とその応用>

 

ニトリル化合物の微生物による分解代謝の解明およびニトリル分解酵素と有機化学合成とを組み合わせた新しい有用物質生産プロセスの開発を目的として、ニトリルを直接カルボン酸とアンモニアに加水分解する酵素「ニトリラーゼ」と、ニトリルを水和してアミドへ変換する酵素「ニトリルヒドラターゼ」についてタンパク質・遺伝子レベルから検討している。

本研究の応用面での成果の一部として、細菌Rhodococcus rhodochrous J1のニトリルヒドラターゼを用いたアクリロニトリルからアクリルアミドの工業生産(年間1万トン)が1991年3月より開始されるに至っており、酵素法による大量生産型化成品生産の初めての例として世界的な注目を集めている。また、1997年度より3-シアノピリジンからのニコチンアミドの工業生産も行われている。

 

ニトリラーゼ反応とニトリルヒドラターゼ反応

 

 

アクリルアミドゲルに固定化したRhodococcus rhodochrous J1の電子顕微鏡写真

 

 

 

Rhodococcus rhodochrous J1のニトリルヒドラターゼを用いたニコチンアミドの生産

 

基質3-シアノピリジンは、最初高濃度のため懸濁状態で反応液中に存在し、反応の進行とともに溶解する。反応数時間後に、反応生成物のニコチンアミドの結晶が析出し始め、やがて反応液全体が固化していく。

 

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